みなさんは 今 会いたい人が いますか 会いたくて たまらない人 会いたいけど 色々な 事情が あって なかなか 会えない人 どんなに 会いたいと 願っても もう けっして 会うことの できない人 私は います 会えないときは 心の中で 語りかけます ていねいに 静かに 語りかけます 返事は 返って こないけど 一生懸命に 心から 語りかけて みます そうすると ほんとうに 会っている ときよりも “伝えたい ことば”が 次々と うかんで きたり します 何だか 涙が 出てきます
一つ目小僧
若いころ 大好きだった “服” 「一つ目小僧」 それこそ 一目ぼれだ 最初の出会いは 「モスグリーンのワンピース」 造り...は とても シンプル 色...と 布地 と 型の バランスが 抜群に良かった ちょっと 欲張って 腰に巻く...感じで ベルトを プラス これがまた 良かった 素材...は 今でも 謎なのだが 少し シャリシャリ感のある 細くて 柔らかな 金属っぽいもの そこに 小さな 鈴が いくつも 縫いこまれている 鳴る音は 控え目に “シャワッ シャワッ”って こんな 感じだ 「大好き!」 そう 思った まるで チャリオット...にでも 乗って しまった 気分 そして“くつ” 黒のエナメル ローヒール 上品な 黒の リボンが 乗せられて... 「それを 下さい」...と言うのに 何の 迷いも なかった その お店は 布地屋さんだ その中の 一角に “おひろめ”されていた “一つ目小僧”を相棒に いろんな場所へ出かけ 様々な 人たちと 出会い 楽しいことも つらいことも 一緒に “あの時代”...を 一緒に 過して くれた 「身にまとうもの」 「身に着けるもの」 力...を くれてたんだな 守って...いても くれたんだな ほんと そう 思うよ 「一つ目小僧」 私にとっては “ふるさと”...だ 大好きな “ふ・る・さ・と” 追記 でね あのベルト 鈴...の ベルトに 名前をつけてみたわ 「縄文ベルト」 なつかしい “縄文” それこそが ”ふるさと”...だ
不思議な少年 Ⅲ
なんとなく...の おしゃべり ゆーっくりの おしゃべり スポーツの話で ほんのちょっとだけ 盛り上がってきた するとね 少年が 言った 「足. みせて」... ...は? あし?...ですか?... ああ さっき くつの サイズの話 したもんね それに しても おもしろい子だ あたし. 片方の 長靴 脱いで “ケンケン”しながら 「はい. 足...です」...と 少年は 一言 「うん」...だそうで... ほんと おもしろい子だ 静かで 落ち着いていて けっして 陽気...とは いえないが だからと いって ネガティブ でもなく... あたし、時間が 気になったので 「家に帰るのかな? 塾に いくのかな?」 「もう 暗いんだから 気を付けてね」 そんな 風に なんとなく 促してみる すると 少年は 「じゃ、また」...と言って 手を 差し出してきた あたし...も 思わず 「はい. またね」...で “握手”...で ございます あたし. しつこくも 「気を付けてね!」 少年 安定...の 「はい」 ...で 彼は 南の方に スタスタと 歩いて 行ったわ でね “じゃ. また”...って 言ったくせに それっきり だわ 待ってる わけじゃ ないんだけどね 名前くらい 聞いときゃ よかった なーんか ちょっと 淋しいんだわ ほーんと おもしろい 不思議な 子だった 15年前...か 今はもう 立派な大人だね 元気で いるよね たのむからさ 幸せ...で いてよね なんか そんな 感じ...です
不思議な少年 Ⅱ
「どーしたの?」 聞いても 少年は 何も 答えない まあね. あまり 色々 質問ぜめは よくないか... ...と 方向性を かえて 学校のこととか. 部活のこととか きいてみた あ...あんまり...かわらんか だけど 少しずつ ポツリ ポツリ と 話してくれる ちょっと 笑顔も 出てきたな 顔も はっきり 思い出せない パーカー かぶって 暗かったしね ...と 今度は 少年が たずねてきた 「子供は?」...とか 「パパさんは?」...とか ...... 偶然だとは 思うけど 「パパさんは?」...て あたしが 夫のことを いつも パパって 呼んでること なんで 知ってるの? ああ... そうか... よその おうちでも だんなさまのこと “パパ”って 呼んでる 奥さん 沢山 いるものね きっと そうだよね... つづく
不思議な少年 Ⅰ
あれ. いつだったっけ よく 想い 出せないな たぶん... 15.6年くらい 前... だろう... 冬...だ 雪が たくさん あったころ だいとかなと さんぽの途中 夕方だけど もう景色は まっくらよ 冬...だもの 近くの 公園を 通り過ぎて 雪...が しっかり 積もった 公園 その まんなか あたりに 人影が... “あれ?”...と よく 見ると 男の子...だ 中学生くらいかな 考えもなく 声をかけた 「塾に 行くの?」 答えは すぐに 返ってきた 「はい」... 「気を付けて 行くんだよ」...と あたし ふたたび 「はい」...と少年は答えた ぐるっと いつもの コースを 歩いて 歩い...て 家に 戻った あの子たち おうちの中に入れて さ・て・と. 雪かきだわ...と ふ...と また 人影...が あらら... さっきの 少年が こっちに 向って 歩いて 来たわ どしたの? こっち方面 “塾”は ないんですが... つづく