だいが泣いた

だいが泣いた
アーモンドのような彼の目から
涙が流れていた
私は犬が泣くのを はじめて見た

息子が高校に入学し、寮生活を始めることとなり
車で2時間ほどの現地まで
送っていく その日、
車内にどんどん詰め込まれていく生活用品や衣類。
私たちのドタバタの動き 息子の様子などから
何となく状況が解るのか...
かなは相変わらず ”兄ちゃん 兄ちゃん”と
甘えっぱなしなのだが
だいは どことなく元気がなく
心なしか
いつも以上に 真面目な顔で...少し緊張気味である。

あっという間の2時間だった。
現地に着き
荷物を寮に運び入れ
その他、色々な手続きを済ませ なんやかんや・・・
じゃあ 私たちは そろそろ帰ろうかと。
息子は だいとかなに
「じゃあまたね。 時々は家に帰るからね」などと
声をかけたり 撫でたりしている。

実は私もかなり寂しい。
まさか、中学卒業で家から離れるとは 想定外だった
少しだけ しんみりしながら
ふ.と だいを見ると...
”だいが泣いている?”...
本当に彼は泣いていた。
車の窓から顔を出して
どこを見ているという訳でもなく
ただ...
つう~
つう~ と
涙を流していた。

”大切な 大好きな人と
これからは 離れてくらすのだ”
という事を
あの子は理解し
寂しくてたまらない心を
ちゃんと表現していたんだね。
”兄ちゃん”に向けた
 深い
  愛情を。

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