"その日”は 朝から じ...んと 肌寒かった ”退院”からの 2日間... その 1分 1秒 が このうえなく 愛おしく 往診で先生にも 診ていただき 状態は少し 安定してきていた 呼吸も ほんの少しだが 楽そうだ ”玄関が いいの” ”ここが いいの” かなが 自分の居場所を 主張する そうだね かな 兄ちゃんが 帰ってきたとき ”いちばん”で お出迎え したいもんね その”場所”に 安心したのか 納得したのか あの子は スースー 眠っている 私とだいも すぐそばで... 少し ウトウト しながら... 時間...て こんなに ゆっくり 流れている ものなんだな... そんなことを ふと 思ったり ”クウ...”かなが 言った 急に かなは 身を 起こして 再び ”クウ...”と息をもらした 私は あわてて あの子を 抱きかかえ... 「お水が ほしいの? かな? 気持ちが 悪いの?...」 ”どうしよう” ”どうしたら いいんだ” 「かな」の名前 呼び続けると あの子は 一瞬 身体を そらせた それから 少し 口を 動かした... ”クウウ...”と 上を向いて... 次の 瞬間 ドスン...と あの子の 身体の 重み...が 倍になって... その重みが 現実を 突きつけてきた 何...が 起きたか...を 私に知らせてきた あの子が 逝った その 瞬間を... その時 そこに 夫は 居なかった あの子の 安定していた ほんの少しの時間 用事を すませる為に 外に 出ていた あの子は たぶん その時間...を 選んだの だろう 自分の 強い 意思で 夫の こころが そのとき...に 耐えられないこと...を 知っていたから ねえ... かな... 大好きな おとうさんのこと かなが 一番 わかってるものね