かわいそうな 人形は 何も 知らずに そこに立つ かわいそうな 人形は 夢のなかで 踊ってる かわいそうな 人形は 笑みの 意味が わからずに かわいそうな 人形は 悲しみ すらも 受け取れず かわいそうな 人形は ただ ただ そこに 立ちつくす 狭間の なかで ゆらゆらと 進むも さがるも 出来ないの かわいそうな 人形が かわいそうで ならないの
乳香
ベージュが ラッパを 吹いたとき 鈴のような 声が鳴る 静かで やさしい カリスマが 周りの 空気を 整える ポジティブ エナジー のっかり過ぎず ネガティブ エナジー はねつけ 過ぎず 丁度の具合が 出来上がる フランキンセンス の 香りのように 乳白色の あかりが 灯る
リミット
春は とっくに 過ぎたのに 強い 風は なかなか 止まない 「これでも まだ目は 覚めないか」 心の中に 音が 響く 人の数だけ 意味が あって 自分に 合う音 聞き分けて 希望に 耳を 澄ます人たち こわくて それを ふさぐ人たち 逃げてる 場合じゃ ないんだな 音を受け取り 風に乗れるか それとも 足元 すくわれるのか どちらにしても 自分次第だ 時が 変わって いくんだな 理由なんて ないけれど そんな 風に 思ったよ 2022 6月 記
眠れる森
ハルと歩いた 道の途中に いつも立寄る ”小さな森” があった 時々の雨宿り 四つ葉のクローバーの おくりもの 暑い日には ちょこっと 木陰を お借りして 一年前の 秋の終わり 二本の樹から 何かを感じた 燃えるような 真っ赤な紅葉と 透き通る様な 黄色のイチョウ 小さな森の 小さな樹だけど 去年の色は 格別だった まもなく そこは 形を変えた 家が建つことに なったから 二本の樹たちは 知ってたのかな 自分の最後を わかっていたのか そんな 風に 思うくらいの 強烈な 色だった 訴えかけて くるほどの 激しく 美しい 色だった
世界
私たちは 自然の一部 私たちは 地球の一部 本来ならば お互いに 支え合っての 完成なのに 私たち 人間は いつの間にか それを忘れて 多くの人は 逆へと進む 欲と楽とを 追い求め過ぎ 肝心要を 見失う そろそろ ちゃんと 目を覚まし 元の 大元 思い出そうか 手遅れに ならないうちに 壊れた戦車の 暴走を 何としてでも 止めなければ 自然が 許して くれてるうちに
解く
今起きている 様々なこと 一つ一つに 対応しながら あちらと こちらを 行ったり 来たり 一見 それらは まったく違う 事柄だけど 少し遠くから ながめてみると 根本は ひとつに つながって いたりして まるで すべての 辻褄が 合うように ピタリと はまり ストンと 納得 するように 光と闇の 戦い なのか 闇は 光を 怖がって 日を 当てられるのを 怖がって 光を 下げに やってくる そこが わかって きたのなら 向き合う すべも みえてくる 夜には 無理矢理 光を 当てず 静かな ときを 守って あげて 昼は わざわざ 布を おろさず 日を 浴びながら 動けば いいよ その体系が くずれると すべてに 支障が 起きてくる 其々に在る 分と いうものを それを きちんと わきまえたなら おのずと バランス とれていく 他の領域を 侵さずに 自分の領域を 整えよう
シルシ
青い鳥が 飛んだ 私の庭から 飛び立った 目に映る 光景は 水の線で かき消され 伸ばした指の 先っぽは 細い 糸を 出したがる 青い鳥が 旅に出た 私の ここから 旅立った 行く先なんて わからない 方向さえも わからない 見えない 地図を 勝手につくり 見えない 形を 整えたくて いくつも 点を こぼしながら ひとつの 線に 繋げてみるよ いつか あの子が 帰ってくるとき 道に 迷わないように こぼれる 雫の ひとつ ひとつに 点で シルシを つけておく あの子が ここに 戻れるように 灯りは いつも つけておく あの子の 声を 受け取るために こころの 内を 澄まして おくよ